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珍しくない切実な問題

認知症の人が徘徊(はいかい)中に列車にはねられて死亡した事故について、JR東海が家族に約720万円の損害賠償を求めた訴訟の上告審判決は、最高裁で、介護する家族に賠償責任があるかは生活状況などを総合的に考慮して決めるべきだ、とする初めての判断を示されたそうです。

ただ、この判決をもって、すべての同様の事件について、同じ処理がなされることにはならないでしょう。
(生活状況などを総合的に考慮して決めるべきなので、個別に判断が必要になります。)

ですので、損害の発生の都度、当事者・関係者で交渉が行われることになるでしょうし、示談が成立しなければ裁判が行われるでしょう。

介護する側のことが理解できる一方で、損害賠償を求める側のことも、理解できます。
(今回は原告がJR東海という大きな会社でしたが、個人や小さな事業所であったら、ひょっとしたら判決の内容が変わっていたかも。)

高齢者の割合が大きくなれば、徘徊をする人も増えるでしょうから、コスト増となることは間違いないでしょう。

徘徊をする認知症の人にも人権があるし、心身の維持の面からも、移動することに対して物理的制限を強くするのは、問題なのでしょうが、介護する側と損害賠償を求める側の両方のことを考えると、徘徊をする認知証の人に、一定の制限を受け入れてもらうことも、やむをえないのではと、個人的には思います。

被害者側に損害賠償を求めない仕組みを定めるのであれば、社会全体で賄うとか、損害保険で対応するとか、いろいろ考えられますが、一律な仕組みを設けるのであれば、国会で議論すべき内容です。
(どなたかがおっしゃる一億総活躍社会というのには、依然としてぴんとこないのですが、珍しくない切実な問題として、真剣に取り組んでいただきたいです。)

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